JPDA東日本委員会・JPDA調査研究委員会

「タイポグラフィを基礎から考える」 スペースの知覚と制御

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開催レポート

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講師:木村雅彦氏(GKグラフィックス部長・タイポグラフィ学会副会長)

開催日時:平成24年2月3日(金)15:15~19:45
(講演 15:15~16:45 ワークショップ&講評/交流 17:00~19:45)
開催場所:東洋インキ本社ビル 9F 大会議室
参加者数:講演75名 ワークショップ33名

講師にGKグラフィックスの木村雅彦氏をお招きし講演および実習のセミナーが開催されました。

前半の講演は75人の参加で、木村氏による欧文書体の歴史と文字の認識され方のお話をうかがいました。

内容としては、まず欧文の紀元に関しては大文字と小文字とで成立が異なること。
古代ギリシャに始まり、トラヤヌス帝の頃に現代とほぼ同じような形に発展を遂げていた大文字の歴史。
8世紀のカロリング朝時代に統一された筆記を主とする小文字の歴史、修道院時代のブラックレターの時代、ルネッサンス時代の人文主義者による統合と再発見、グーテンベルグの頃の印刷技術との出会い、産業革命時の復活など、時代を経る中で歴史を背景にさまざまな変遷があったことなどでした。
これまでに聞いたことの無い内容で、非常に興味がそそられる内容で、日常で普通に使っている多くの欧文書体は、このような経緯の中で生まれてきたものだと再認識いたしました。

また、現代に伝えられてきた欧文書体は、基本的には書物のために作られたもので、現在の広告やパッケージ、Web等に、そのまま用いるのには向かず、スペーシングに関しても、古代から伝わる均等なリズムで表記される大文字は字間を広くとることでバランスが取れるのに対して、筆記体をベースに生まれてきた小文字は字間が広すぎると単語としての認識が困難になるため、両者を合わせる際には、組み方に注意が必要となることなど、文字組に関する実際的な話がありました。
その応用例としてJR東日本のサインデザインの話の中で、文字を大きくするより、小さくした方が可読性が上がったというところに、興味をそそられました。

後半は20代から30代の若手を中心に33人が参加した欧文スペーシング実技でした。

紙に刷られた小文字の「mimi」という文字を、実際に紙をカットし、分解してみて、調整しながら動かしてみる。
その中で、文字の重心とエレメントによって生まれるアキの微妙な空間の差を理解すること、たとえば「mi」と「im」それぞれのアキの空間が微妙に異なることを知覚することが重要で、それを感じる目を養うことを目的とする実習でした。
心地よい字間の取り方、文字の重心とは何か?という問いかけと、日常、私たちの回りに氾濫している文字組は、あまりスペーシングの事まで考えられていないこと等…まず、目を養うこと、そこから全ては始まることを教えられました。

そして、実技の講評に引き続いての交流会を通じて、さらに講師と話を続けている若い参加者の熱心さ、前向きさを感じました。
また、木村氏が持参してくださった多くの歴史的資料を実際に間近で見ることができたことも大きな収穫であったと思います。

講演、実技ともに新鮮な内容で参加した方々も、同様な驚きを受けたように思います。
木村氏としては、日本語でも同じようなタイポグラフィーセミナーを行ないたいと話されていましたが、今後の日本のパッケージデザインのクォリティの底上げに役立つものと考えます。
(JPDA東日本委員会 江藤正典)

担当委員会:東日本委員会/調査研究委員会
担当理事:東日本委員会 碓井健司/野末俊作 / 調査研究委員会 桑 和美/中越 出
担当委員:東日本委員会 内山淳子/江藤正典/國吉英二郎/添田幸史/田口頼幸/竹廣光春/竹澤さつき/谷口和隆/西島幸子/原田寛之/平田克己/古城晴美/牧之瀬文隆
調査研究委員会 足立美津子/小川 亮/加藤憲司/木嵜日出郷/北山晃一/小阪ゆき/齋藤郁夫/高田知之/秦 智子/原 雅明/平尾朋子/藤森 宏

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