JPDA国際交流委員会

JPDA海外デザイン事情視察ツアー2014 スペイン

開催情報
開催レポート

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視察日程:平成26年6月18日(水)〜26日(木)
視察場所:スペイン(バルセロナ&マドリッド+グラナダ・コルドバ・コンセグラ)
参加人数:38名

陽気で情熱溢れるスペイン。パッケージデザインの世界で近年、スペインの躍進が凄まじく世界的に著名な賞も多数受賞しています。そんなスペインの今を体感すべく企画された海外視察。グローバルなデザイン市場を見る、そんな中身の濃い視察となりました。

飛行機を乗り継ぎ半日以上かけた長旅からバルセロナに到着。まずは全員で歓迎夕食会。海沿いにあるシーフードレストランで参加者全員の自己紹介を経て、デザートが出るころには参加者それぞれに笑顔が溢れる和やかな雰囲気で、早くもツアーの成功を感じました。

翌19日、世界で活躍するバルセロナのデザイン会社を4社訪問し視察スタート!

一社目は、Morillas社。設立50年を超えるスペイン最大規模(50名)のデザイン会社。入口のディスプレーに「ようこそ」の文字と折り鶴のウェルカムが!嬉しい歓迎す。Thinking + Feeling = Theelingをコンセプトにデザイン。シュエップスをはじめ、グローバルブランドも数多く手掛けており、よく練られたデザインに感銘を受けました。

二社目は、Puigdemont Roca社。サグラダファミリアのすぐ近くにある少数精鋭の刺激的なデザイン会社。飲料や食品が多く、商品コンセプトを斬新に表現し市場での差別化を図っていました。

美味しいガスパチョとパエリアで一息入れた昼食を挟んでからの三社目は、ruiz + company社。倉庫街にある開放感溢れるオフィスで参加者からは「こんな環境で働きたい」との声が。世界中の様々な賞を受賞し、ある壁は賞状やトロフィーで全面埋まっています。アパレルのパッケージに食品をデザインしたり、と既成概念にとらわれないデザインで新しい世界観を創造していました。

バルセロナ最後の四社目は、SeriesNemo社。社名の由来は「名前がない」。何にもとらわれない自由を愛する、そんな感じです。ネットや電話などが一切ないフロアがあり、アイデアを発想したりクライアントとワークショップをするそうです。商品まではいかない新しいアイデアをクライアントに提供する、プロダクトとグラフィックの融合から生まれる提案など、未来感が詰まった会社でした。私達がワインに日本語でサインし”nemo”サインのワインとの交換会でさよならしました。

バルセロナの最終日は市内の世界遺産をめぐり、歴史や文化からデザインを学びました。今では事前のネット予約(しかも入場時間制限あり)でしか入れないサグラダファミリアやグエル公園でアントニ・ガウディ氏が描いた極めて自然な曲線美や、大胆でかつ計画的な建築様式を目の当たりにして、言葉を失うほどの感動に包まれました。午後からは自由行動となり、サッカーの聖地カンプノウへ行く人、カサ・ミラ邸など更なる建築探訪や、本場フラメンコの情熱的なステップを見に行く人、様々にバルセロナを堪能していました。

翌日は飛行機でグラナダへ移動し、イスラム文化の傑作であるアルハンブラ宮殿を視察。連日の快晴もあり、カメラを持つ手が止まりません。絶景はもちろん、歴史や文化を感じる装飾や王宮ならではの建築様式など、デザイナー魂を刺激するものばかりでした。夕方にコルドバへ移動し食事を、と散策してますと、偶然にも年に一度の音楽祭の日でした。様々な場所から音楽が溢れていて、街全体がライブ会場のような熱気に包まれていました。翌朝はメスキータを見学。八世紀にイスラム寺院として建設され13世紀にカトリックの礼拝堂が設けられたイスラム教とキリスト教が同居する珍しい建築でした。その後はバスで移動しドン・キホーテゆかりの風車群を見学し、首都マドリッドに到着。夜には市内中心部で聖体祭が行われ、コルドバでの音楽祭とあいまって、まるでスペインが我々を歓迎してくれているかと感じるほど、タイミングに恵まれました。

翌23日、マドリッドを代表するデザイン会社を三社訪問。

一社目は、La Cia.社。天井がとても高く広いワンフロアのスタジオで50名のデザイナーが働く大きな会社。パントーン社の仕事もしている関係か、お土産のノートは表紙がLa Cia.社のコーポレートカラーのパントーンをデザインしたもので人気殺到でした。日本語の文字も使ったプレゼンテーションは解りやすく、お客さん目線第一で売れるデザインが重要だからデザインのためのデザインはしない、と明言されていました。

二社目は、Estrada Design社。ワインのデザイン、本の装丁から企業や美術館などのCI、VI開発などを手掛けるスペインでは著名なデザイン会社。シンプルに丁寧に作り出された“伝わるデザイン”は、世界で通用する、解るものだと実感しました。

お昼を挟んでのツアー最終の訪問先は、In Spirit社。フランスにもオフィスを構える少数精鋭の会社。プロダクトデザインに強く、アジアのパッケージの仕事も多いようで、様々な賞を受賞したミネラルウォーターの容器など優れた形状を多数手掛けていました。

最終日は自由行動で、プラド美術館やソフィア王妃芸術センターで著名な絵画を見たり、地下鉄に乗って市内を散策したり、視察最後の一日を各々が有意義に過ごしていました。

本ツアーで計七社を訪問し、スペインデザインが作り出す新しい感覚やアプローチを実感し、世界遺産などの視察では、文化や歴史が作り出す多様なデザインに触れました。

日本のパッケージデザインのパワーアップに繋がること間違いない、フミ・ササダプロデュース傑作の視察であったことを参加者全員が実感したツアーでした。ツアーの企画や事前視察、訪問先やツアー会社の検討や折衝、ツアー用の各種案内作成、添乗や通訳の方々、、、本ツアー成功に尽力いただいた皆様に心から感謝申し上げます。Muchas gracias!

担当委員会:国際交流委員会
担当理事:フミ・ササダ、森 孝幹

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