JPDA調査研究委員会
パッケージデザインの価値 はどうなるか〔第2回研究会〕 ザ・買物
JPDA調査研究委員会では、社会の変化、技術の進展でパッケージデザインはどう変わるかを探索するシリーズ研究会「パッケージデザインの価値はどうなるか」を進めています。
本年3月開催の第1回研究会では、「サステナビリティとリサイクル」「買い物行動」についてディスカッションを行いました。
今回は「買い物行動とパッケージデザイン」のテーマをさらに深掘りします。
デザイン×技術の対話の場です。どうぞご参加ください。
*第3回研究会(2020年春予定)では「サステナビリティとパッケージデザイン」を取り上げます。
- 開催日
- 2019年09月19日(木)0:00
- 申込期限
- 開催済み
日 時:2019年9月19日(木)16:00-20:00(受付15:30)
会 場:東洋インキ株式会社大会議室(京橋エドグラン29F)*22Fより入場
東京都中央区京橋2-2-1京橋エドグラン
参加費:JPDA会員3,000円/一般4,000円/学生1,000円
*第1回から継続参加の方:JPDA会員2,000円/一般3,000円/学生500円
(申込フォームの通信欄に「継続参加」と記入してください)
定 員:30名
申込締切:2019年9月13日(金)(先着順・定員になり次第締切)
15:30- 受付開始 会場 東洋インキ株式会社大会議室(京橋エドグラン29F)*22Fより入場
16:00- 開会
16:10- 第一部
講演「デジタルテクノロジーと変わるショッピング」
島田道雄氏(日本包装専士会副会長・未来包装研究委員会委員長、技術士[経営工学部門])
JPDA調査研究委員会より「パッケージと買い物の変化・超ダイジェスト」
17:20- 第二部 ディスカッション
テーマ:「買い物変化で、どうなる?どうする? パッケージデザイン」
委員会メンバー×会場の皆様
19:30- 第三部 交流会(20:00終了予定)
※申込方法:このページ上部の「お申し込み」ボタンからフォームに記入し送信してください。
※第1回から継続参加の方は、フォームの通信欄に「継続参加」とご記入ください。
>>> 案内PDFをダウンロード
■日本包装専士会:
(公社)日本包装技術協会主催「包装アカデミー」講座を経て、包装技術のエキスパートとして「包装専士」の称号を得た修了者で構成する任意団体、1987年設立、会員数178名(2018年現在)。
>>> 日本包装専⼠会サイト
■未来包装研究委員会:
「包装を通してあるべき未来を提案する」を目的に、「社会的課題」、「新技術(包装技術・包装の役割)」の情報を入れ、これら情報をクロスに評価し、「2030年のあるべき姿」と「現状とのギャップ」を見える化し、「進むべき方向」を提案する日本包装専士会のプロジェクト。2016年より活動を開始し、2018年の東京国際包装展(TOKYO PACK 2018)で発表しました。
参考資料:パッケージデザインの価値はどうなるか〔第1回研究会〕
>>> 研究会開催レポート
>>> 島田講師・「2030年包装の未来予測 概要」講演概略
>>> JPDA調査研究委員会・報告概略
開催日時:2019年9月19日(木)16:00~20:00
開催場所:東洋インキ株式会社大会議室(東京都中央区京橋2-2-1京橋エドグラン29F)
第一部 講演&委員会報告
講演「デジタルテクノロジーと変わるショッピング」
島田道雄氏(日本包装専士会副会長・未来包装研究委員会委員長、技術士[経営工学部門])
JPDA調査研究委員会・高田知之「パッケージと買い物の変化・超ダイジェスト」
第二部 ディスカッション
テーマ:「買い物変化で、どうなる?どうする? パッケージデザイン」
委員会メンバー×会場参加者、進行:佐野良太
第三部 交流会
総合司会:中越 出、交流会司会:桑 和美
参加者数: 32名(会員24名、一般6名、学生2名)
※うち第1回研究会からの継続参加者: 10名(会員8名、一般2名)
JPDA調査研究委員会では、社会の変化、技術の進展でパッケージデザインはどう変わるかを探索するシリーズ研究会「パッケージデザインの価値はどうなるか」を進めています。
本年3月開催の第1回研究会では、「2030年包装の未来予測」に取り組んできた日本包装専士会・未来包装研究委員会の方々をお招きし、情報共有を図るとともに「サステナビリティとリサイクル」「買い物行動」についてパネルディスカッションを行いました。
第2回となる今回は「買い物行動とパッケージデザイン」のテーマをさらに深掘りする目的で、講演・報告による情報共有の後、参加者の皆様との対話の場としてワールドカフェ方式によるグループディスカッションを行いました。
様々な視点から、買い物テクノロジーとデザインに関する活発な意見交換がなされました。
なお、「サステナビリティとパッケージデザイン」については、第3回研究会(2020年3月中旬開催)で取り上げる予定です。
(追記:第3回研究会は新型コロナウイルス拡大の影響で、開催見送りとなりました)
【第一部 講演】16:10-16:55
開会後、宮城愛彦委員によるアイスブレイク(各テーブルで簡単なゲーム)で隣同士になった参加者も和やかな雰囲気の中、第一部がスタート。
前半は日本包装専士会・未来包装研究委員会の島田道雄委員長の講演「デジタルテクノロジーと変わるショッピング」。3月の研究会に続き島田委員長に再度登壇をお願いし、買い物関連にフォーカスして詳しくお話しいただきました。
少子高齢化、労働力不足、外国人労働者増といった社会背景と、センシング、画像認識、高速データ通信、ビッグデータの取得と解析、スマホ普及とアプリ開発、AI活用などなどデジタルテクノロジーの進化が相まって、大きく変化している小売りとショッピング・シーン、その内外の事例が紹介されました。
例えば、アメリカの無人店舗。スマートフォンで入店し、決済も自動。天井にはカメラ・センサーがはりめぐらされ入店者の行動をとらえているといいます。
ネット通販事業者はリアル店舗を独自展開する一方、リアル店舗の大手チェーンは通販システムを店舗に来てもらう策の一つとして強化するなど、リアル店舗と通販の融合がさらに進んでいます。
中国では、通販配送サービスで時間価値を売るとともに、ネット通販大手はリアル店舗で購入した商品を店内で調理するなどリアルな体験を提供、配送や陳列は自動化し、決済はキャッシュレス。日本国内では、業態として成長し続けるドラッグストアの例。
経産省の「ドラッグストアスマート化宣言」(2018年)以降、RFID(電子タグ)の実証実験も行われるなどサプライチェーン全体の課題解決を目指しています。生活者にとっては、食料品の拡充や店舗でのヘルスチェック、宅配ロッカーシステムなどワンストップショップとして利便性が向上しています。
販売サイド(小売り)と購買サイド(生活者)それぞれのニーズをさまざまなデジタルテクノロジーがつなぎ、生活者の満足を高めていくと島田氏は語ります。
「ショッピングも変わる。優先されるのは、生活者の満足。そのとき、パッケージの果たす役割は何か?」と投げかけ、講演を締めくくりました。
【第一部 委員会報告】16:55-17:10
島田氏の講演に続き、調査研究委員会の高田知之理事が、日本国内のおよそ100年間にわたる買い物とパッケージの変遷を俯瞰しました。
20世紀前半は、百貨店が各地に開業し大衆化が進んだ時代で、個別容器・個別包装など近代的パッケージの本格普及も主にこの時期でした。
戦後の高度経済成長期は、いわばスーパーマーケットの時代、大量陳列とセルフサービスでパッケージ自体が広告の役割を担うようになります。
1960年代後半、自動販売機の登場・普及で、買い物シーンが拡大、飲料容器は規格化された缶が多くなります。
70年代にはコンビニエンスストが台頭し、時間・場所など生活者の利便性が向上、多店舗展開とともに小ロット多品種化、独自商品の投入も進みます。
インターネット普及の90年代後半から2000年代にかけ、ネット通販が拡大、買い物に出かけるという行為から自由になります。
高齢化やエコ意識なども背景に商品の小型軽量化、詰替え容器や素材の変更などがさらに進んでいったのもこの時代。
2010年頃から、ネットとリアルが融合したオムニチャネルが加速、体験の場としてリアル店舗が話題に。
近年は、パーソナライズ、カスタマイズといった個々のニーズへの対応も求められると同時に、テクノロジーがそれらを反映できるようにもなってきています。
第一部前半の島田氏による講演、後半の委員会報告、これらを呼び水として第二部のディスカッションへ。
【第二部 ディスカッション】17:20-19:20
研究会第二部は、参加者とともに考えるオープンな意見交換の場としてワールドカフェ方式(※)でディスカッションを進めました。
進行は、佐野良太委員。
今回の参加者は、デザイン系が約半数、他には技術、商品開発、リサーチ、マーケティング、教育など専門もキャリアも異なるさまざまな立場の方々。
セッションが進むにつれ、熱心なディスカッションとなっていきました。
※ワールドカフェ:カフェで語らうようにリラックスした雰囲気の中、小グループに分かれ「問い」について対話をするディスカッション形式。出てきたアイデアやキーワードを付箋紙や模造紙に書き込み、共有する。途中席替えをするなど複数のセッションを行う。対話をとおして、気づきを得るのが目的。
ワールドカフェ最初のセッションは、売り場とパッケージについて。
「時代による売り場の変化(スーパー、コンビニ、ネット通販等)が、パッケージデザインにどんな影響を与えてきたか?」を考えます。
売り場の変化によって、パッケージの何が変わってきたか?
特にリアルとネットを対比して考えるグループが多く、例えば、以下のような趣旨の意見が出されました。
(順不同、一部言葉を補っています)
・店頭で情報を伝える(買わせるための)デザインから、ネット通販では使用時に適したシンプルな
パッケージに
・通販商品では、エコの観点からリサイクルマークのみ添付した割り切った飲料パッケージも登場
・ECが増えたことで、段ボールは無地(配送機能中心)から、印刷入りとなりディスプレイのツールに
・チャネル別(スーパー、CVS、通販)にサイズもデザインも異なるパッケージで、多品種化した
・購入場所によって目的が異なり、それに適した商品、パッケージ、デザイン・・・主婦目線では、
スーパー:家族の物を買う、CVS:自分の物を買う、ネット:ピンポイント(これが欲しい)
・店頭、通販だけでなく、対面販売、移動販売、デリバリー、衝動買いなど買い方が多様になり、
パッケージも多様化、複雑化している
・CVSの効率陳列で、小型商品やフックにかけるパッケージが一般的になった
セッション2では、一部の参加者がテーブルを移動、それぞれのテーブルで交わされた意見を共有したうえで、改めて同じテーマで意見交換。
セッション3は、元のテーブルに戻って、新たなテーマ「未来の買い物とパッケージデザイン」について。
劇的に変わり続ける売り場において、未来のパッケージはどのように変わるでしょうか?
パッケージのデザインの可能性と課題について考えました。
セッションを終えた後には、各テーブルからそれぞれのディスカッション内容を発表し、全員で共有。
例えば・・・(順不同、一部言葉を補っています)
・個人によるモノ作り、フリマサイトでの販売が増加、パッケージデザインが多様化する
・リユースするパッケージ、設計や意匠といったデザインにより価値が上がる
・人々の「欲しい」の概念が変わる、それによってデザイン性やデザイナーのスキルも変化する
・売り方・買い方が多様化、パッケージも多様化する分、資源や環境への配慮が一層求められる
・同じ商品でも自分でパッケージの仕様やデザインを選択できるようになる
・パッケージの良し悪し(エコ視点だけでなく)を判断していく教育、次世代への教育が必要に
・グローバル化すると逆に個別の文化の価値が上がり、パッケージデザインにもチャンス
【第三部 交流会】19:30-20:00
会場を移しての交流会では、軽食と飲み物での和やかな雰囲気の中、講師や委員に対し個々に質問がなされ、またディスカッションでは語り合えなかった別のテーブルの参加者同士でも意見交換を行うなど盛況のうちに幕を閉じました。
参加者アンケート(回収数31)の自由回答では「人と話しながら思考を深められたのが良かった」「様々な職業・年齢の方々からあらゆる視点で意見を聞けた」「パッケージデザインを多角的にディスカッションする機会がないので、いい機会になった」「多様な考え方にふれることができ、自分だけでは出てこない考えも多く、有意義でした」などディスカッションに対する意見が多くを占めました。
ディスカッション内容は、調査研究委員会で整理・検討し、改めて報告する予定です。
また、第三回(2020年3月中旬予定)にむけて、「サステナビリティとパッケージデザイン」に関するテーマの掘り下げも並行して進めます。
今回の研究会開催にあたり、講師の島田道雄様、会場をご提供いただいた東洋インキ様、並びに関係各位に御礼申し上げます。
(報告:中越 出)
担当委員会:調査研究委員会
担当理事:桑 和美/高田知之/中越 出
担当委員:足立美津子/巨椋栄蔵/加藤真弘/黒瀬克也/佐野良太/鈴木樹子/福本佐登美/丸本彰一/宮城愛彦
あわせて、2019年3月に開催した第1回研究会のレポートもご覧ください。
>>> パッケージデザインの価値はどうなるか〔第1回研究会〕レポート
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