現代日本のパッケージ2016 開催レポート
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印刷博物館と関連3団体の共催による「現代日本のパッケージ2016 」が、2016年9月17日(土)より開催となりました。(11月27日(日)まで)
>>> 開催案内
会場の印刷博物館P&Pギャラリーには、3団体それぞれの特徴を示すパッケージの数々が展示されました。素材の質感、光沢感、サイズ感など画像だけでは実感しにくい現物のリアルな魅力が伝わる展示になっています。
一般社団法人日本印刷産業連合会(JFPI)は、毎年「ジャパンパッケージングコンペティション」を開催し、今回が55回を数えます。経済産業大臣賞の一つ「ポーラ オー ド フルール」は、JPDA主催「日本パッケージデザイン大賞」の2015大賞とのダブル受賞です。
>>> 第55回ジャパンパッケージングコンペティション受賞作品(JFPIサイト)
公益社団法人日本包装技術協会(JPI)主催の「日本パッケージングコンテスト」も毎年開催、生活者包装、輸送包装のすべてを網羅しているのが特徴のコンテストです。会期中の10月4日~7日に、JPI主催で隔年実施の展示会「東京PACK(東京国際包装展)」が開催され、東京ビッグサイトの特設会場には「2016グッドパッケージング展」として入賞作が一堂に展示されました。
>>> 日本パッケージングコンテスト2016入賞作品一覧(JPIサイト)
公益社団法人日本パッケージデザイン協会(JPDA)の「日本パッケージデザイン大賞」は隔年開催で、昨年の「現代日本のパッケージ」展では、2015の大賞受賞作はじめ36点の受賞作品と13点の審査員推薦作品を展示。本年ははざまの年であり、JPDAが隔年で刊行している『パッケージデザインインデックス2016』掲載作品のなかから「シズル表現」をキーワードに幅広いタイプの作品が展示されました。
*『パッケージデザインインデックス』は、「日本パッケージデザイン大賞」入選作を収録した『年鑑日本のパッケージデザイン』と隔年で交互に刊行しています。
>>> JPDA出版物のご案内
*「日本パッケージデザイン大賞2017」の入賞・入選作は、9月30日に速報が発表されました。大賞は2017年1月の贈賞式で発表の予定です。
>>> 日本パッケージデザイン大賞2017 審査結果【速報】
JPDA「パッケージのシズル表現」の展示をご紹介します。パッケージデザインの表現方法の一つ「シズル表現」の「シズル」とは、ステーキを焼く時の「ジュージュー」という音の英語「sizzle」に由来する言葉です。シズル表現は、見ただけで食欲がそそられる注ぎたてのビールの泡やみずみずしい野菜などといった食べ物の写真、また食欲のみならず、人の官能を刺激して魅力を感じさせる表現を言います。展示では、写真、イラストによる「シズル表現」に加え、文字、形態によるものまで幅広く紹介されました。
写真/photograpf、イラスト/illustration:(展示説明文より引用)
基本となるのは写真やイラストによるシズル表現
シズル表現において、まず最初に思い浮かぶのが写真による表現です。食品が一番美味しそうに見える瞬間を切り取り、その魅力を最大限に引き出して伝えることができる写真は、王道の手法です。写真で撮影できないようなシズル感は、精緻なイラストを使って表現されます。例えば、キズや傷みのないピカピカの野菜・果物や、液体が混ざり合っていく様子等はイラストの方が適しています。写真とイラストの長所を違和感なく組み合わせている例もあります。
文字/character:(展示説明文より引用)
文字によるシズルの表現
商品の中身の最良の状態を写真やイラストで提示する方法以外にも、シズルと呼べるグラフィック表現があります。例えばウインナーをかじった時の「パリッ」という音を視覚で表現する際には、商品のビジュアルだけではなく。「パリッ」感が増す書体を選んだり、オリジナルの文字を作って表現することもあります。
形態/form:(展示説明文より引用)
形態によるシズル表現
シズル表現はグラフィックに限ったことではありません。容器の形態や素材の工夫によるものもあります。例えば、ミネラル豊富な海のエッセンスがたっぷり入った印象を与える大らかな海の流れを表現した形態や、蜂蜜がたっぷりと配合された石鹸のハニカム型は、シズル感を高める効果を発揮しています。
10月2日(日)には、「パッケージのシズル表現」をテーマにしたトークショーが、印刷博物館内グーテンベルクルームにて開催されました。 JPDA加藤芳夫理事長をモデレーターに、3人のデザイナー(永島学氏、小川裕子氏、松田澄子氏)がゲストで登壇。シズル感を表現するために自身はどのような工夫をしてきたか、展示作品のどこにシズル表現としての特徴があるかなどデザイナーの視点で、時には生活者の立場で「シズル表現とは何か?」が語られました。
元々の「シズル」は、おいしさ感をいかに表現するかなど口に入れるものを対象にしてきたのに対し、化粧品やボディソープの質感や機能感も対象にするなど意味合いが広がっています。飲食物以外にも比喩的に使われてきた「シズル」という言葉が、「気持ちを盛り上げさせる」「全体の空気感」や「らしさ」「ライブ感」といった意味でとらえられていることがデザイナー各氏から語られました。また、「シズルは記憶」、(CMなどの)「トータルなコミュニケーションがシズルを感じさせる」といった面も示されました。
トークショー会場には、若い方々も多く、トーク終了後も登壇者と話しをしたい人が多く、列が出来る程でした。展示そのものとトークショーのテーマへの関心の高さがうかがえました。
今回の「パッケージのシズル表現」コーナーで展示されているパッケージは、印刷博物館学芸員とJPDA出版委員会により選定されたものです。展示物それぞれに、開発に関わったデザイナー自身による解説が付されています。 是非、会場でパッケージ現物をご覧ください。それぞれのパッケージにどのようなデザイン表現がなされているか、素材や構造、技術的な工夫が施されているかが手に取るようにわかります。
画像提供:印刷博物館
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